春の歌を利用される方の殆どが認知症の方ですが、できる限り本人と認知症の話しをするようにしています。「認知症にだけはなりたくない」「認知症になったらお終い」という感情を持つ人も少なくないと思いますが、ずーっとそのままの風潮でいいのか?と疑問を持ち続けているからです。
ここ数ヶ月で脳の機能が著しく低下してきた方がいます。Kさんは時々、自分の家を自分の家だと理解できなくなったり、所持していない車が盗まれたと夜中に隣の市まで歩いたり、先日も雨の中、某会社の敷地内に入って行き保護されたりということがありました。Kさんは一人暮らしをしていて身寄りがありません。脳の働きが良い時もあれば悪い時もある状態で、良い時は1人で過ごせています。私達も日々、この方にとっての最善はどこにあるのか悩みながら付き合っていて「今Kさんは認知症の状態なんだよ」ということを説明しながら、事あるごとに本人に何を望むのか、何を望まないのか聞いているのです。「認知症って大変なことなんじゃないの」と言われたことがあり「Kさんは今大変なの?」と聞くと「いや、大変じゃないよ」と答えます。「じゃあ認知症だから大変ということではないよね」と返すと「そうだな」と。今わかっているのは、入院はしたくない、タバコ吸いたい、ビール飲みたい、(去年やった)バーベキュー楽しかった、決まりのある場所で暮らすのは窮屈、小さい頃に別れた子供に会いたい。
夕方、家に送ったKさんがなかなか家に入らず、入ってもすぐ出てしまう状態になり、今日は泊まりにしようと決めました。入院はとても嫌がるKさんですが春の歌に泊まるのは嫌がらない😅晩御飯の話しをした際に「ラーメン食べたいな」との呟き。この何かをしたいという発信はとても貴重!!年齢を重ねるといろんなことに諦めがあり、何かをしたいという発信をしなくなる印象があります。どこかに行きたいとか、誰かに会いたいとか、何かをしたいということを自分から言えるというのは素晴らしいことです👍
この呟きは拾わなくては!と思い、ラーメン屋に行ってきました🍜「美味い」と言いながら食べ満足した様子。その後は家に帰る意思表明があり、今の精神状態なら大丈夫そうと判断して家に帰しました。
次の日、ラーメンを食べに行ったこと覚えていたそうです🤭
認知症になっても、自分のことは自分で決められます。もっと認知症が深くなって意思決定が不明瞭になった時、「この人ならどう判断するだろう」と考え続けた私達が悩みながらも代弁していくことはできると思います。そのためにも、今のうちからたくさん話そう😊