Sさんの振り返り

ひと月前に亡くなったSさんとの関わりについて、春の歌ミーティングで振り返りを行いました。

春の歌を利用するまで、奥さんであるSさんをご主人は献身的な介護をされていました。介護サービスを勧められても無理だろうと思っており、春の歌の利用が始まっても続けられないと感じていたようで、しばらくは「仮契約」と思いながら利用されていました。なぜ、そう感じていたのかと言うと、Sさんは急に怒り出してしまうことがあったため、サービスを受けても上手くいかないだろうと感じてのことだったと思います。

振り返りの中でも、利用当初のSさんと関わることに自信が持てないと感じていたけどSさんからたくさんのことを教わったと話す職員や、お風呂介助が上手くいかなかったけど気持ちがいいと入ってくれるようになった時の喜びを話してくれた職員もいて、みんなの中にたくさんのSさんとのエピソードがあるんだなと嬉しく聞いていました。全員がSさんの芯がしっかりしていて会話に深みがあり、優しさもあるところに癒された。また、利用者同士の交流でも急に怒り出すことがあり、怖がったり戸惑う利用者もいましたが、怖がらずに対等に接する利用者もおり、人と人が交わることの奥深さも感じました。

どんどん弱っていくSさんと、それを見て涙するご主人でしたが、いつもSさんが何を望むのか考えて物事を決めていました。入院してからも「春の歌のみんなの声聞くと喜ぶんだ」と病室から電話をかけてきたり、「お母ちゃんは家に帰りたいと思ってるから連れて帰りたい」と医師から施設を探すように言われても退院することを決めました。自宅に戻って過ごした時間は短かいものでしたが、自宅でご主人と息子さん、娘さんと過ごした時間は何物にも変え難い時間だったと見ていて感じました。また入院することになり、ほどなく亡くなった時も斎場に真っ直ぐ行かず「お母ちゃんは家に帰りたいと思う」と自宅に帰しました。眠っているように穏やかな表情のSさんを見てご主人はすごいなと感じました。

私のSさんとのエピソードは、Sさんに認知症についてどう思うかと質問した時に「認知症は怖くはないけど、厄介だね」と言ったことです。すごい芯をついた返事だと感激したことを覚えています。みんなと同様に、私もたくさんのことをSさんから学ばせていただきました。ありがとうございました。

ご主人はまだ泣いています。どのくらいの時間を要すれば癒されるのかわかりませんが、これからもたくさんご主人とSさんの話しをしたいと思っています。